虎の尾モミ

西明寺のトラノオモミ

虎尾樅(トラノオモミ)は昭和三十一年(一九五六年)に山形県指定天然記念物とされた。

薬師堂の脇に立つ巨木である。マツ科の常緑針葉樹で、樹齢約三七〇年、樹高約二十六m、根回り約四m、幹回り約三m。円錐形状の樹形は、東西十m、南北九mにひろがっている。 上杉第四代藩主(米沢藩三代藩主)上杉綱勝が明暦四年(一六五八年)、夫人の病気平癒を願い、会津(福島県)から苗木を取り寄せて、お手植えしたと伝わり、夫婦愛を物語る名木でもある。

上杉綱勝は明暦元年(一六五五年)、会津藩主、保科正之(ほしなまさゆき)の長女・媛姫(はるひめ、十六歳)を正室に迎える。 綱勝・媛姫ともに病弱だったため、古くからあるこの薬師堂に参拝し、お堂の隣に媛姫の実家がある会津から取り寄せた、トラノオモミをお手植えしたと伝わる。 枝先にとがった針のような葉がびっしりと付き、その形状が虎の尾のように見えることから名付けられた。

指定後の調査で、ハリモミであることが判明。ハリモミは東北南部の福島県から九州の鹿児島県に至る太平洋側、低温帯域に分布している。日本海側の多雪地帯にはほとんど自生しないとされ、学術的に貴重な存在とされている。樹勢があり、生命力が感じられる。
トラノオモミの球果(まつぼっくり)です。とても大きい!